パナソニックは、 エアコン エオリア Xシリーズ 2020年モデルを、2019年11月下旬から発売をします。
2020年モデルはWXシリーズが未発表です。2019年モデルでは、WXシリーズとXシリーズを同じタイミングで発表したので違いがあります。
WXシリーズのおさらい

ぱっと見ると違いがわかりませんよね?
WXシリーズは、Xシリーズの室内機の横幅を拡大して、運転音の軽減とエネルギー効率を高めたシリーズです。
カタログの仕様表からは、WXシリーズとXシリーズの違いを読み取ることはできません。広い部屋では、室内機のファンを低速回転で運転しても、風量を確保できるので、「静か」だと体感できます。
パナソニックが2020年モデルのWXシリーズの扱い方が楽しみ
月間生産台数が、Xシリーズが25000台、WXシリーズが2000台です。WXシリーズの生産規模は、Xシリーズの10%以下です。
2019年モデルのWXシリーズの開発が突貫だということが、カタログスペックの随所に出ていました。
パナソニックのマーケティング(&広告代理店)は、WXシリーズを押し出すか?押し下げてXシリーズを押し出すか?
WXシリーズの月間生産台数の規模は小さく、2020年の市場の需要予測も縮小します。参考までに、2018年が982万台。
WXシリーズは飛ぶように売れず、フラグシップモデルなので大幅な値引きもしていません。過年度モデル(旧型)の在庫で需要を満たすこともできます。
新しい何かを投入して押し出すか、2020年モデルはXシリーズを押し出して、WXシリーズを押し下げるということが想定されます。
三菱電機はパナソニックが決まったら後出しじゃんけんの戦略
三菱電機エアコンのカタログスペックは、パナソニックを微妙に超えます。決められた試験条件で、カタログスペックの数字の上下させることは、セッティングの調整でできるのです。
パナソニックのカタログラインナップの穴にモデルを投下します。パナソニックの動きに合わせて、販売戦略・商品戦略を調整している傾向があります。
上手ですね。
パナソニック エオリア Xシリーズ (2020年モデル)の3つの特徴
やっと本題です。
3つの特徴が2020年モデルにありますが、2019年モデルの弱点の改善に重きがおかれています。
- ナノイーX(空気清浄機の機能向上・カビ臭を防ぐためダストボックスの変更)
- エオリアAIの進化
- 夏の高温外気温の動作保証
ナノイーX
エアコンに空気清浄機が搭載されても、空気清浄機のモードで使う人は少ないです。理由は臭いからです。
エアコンから出るあの酸っぱい臭いです。あの臭いは、ナノイーXの物質を出しても、期待するほど臭いが消えないのです。カビが消えるではなく、低減するのと表現する理由の1つです。
【試験結果】暖房時、冷房時とも、10%~41%の低減効果を確認
2019年9月25日のパナソニックのプレスリリース
根本的なカビの原因は水分を吸収した「エアコン内部のほこり」です。湿ったほこりは、カビには最上級の環境なのです。
「ダストボックス」を見直して、ほこりが着かない・残らない清掃能力のほうが、カビの臭いを防ぐには効果が直結します。
広告的にはどっちがいいかですよね。
- ダストボックスの形状・仕組みを改善して清掃能力を高めたことで、カビ臭を低減しました。
- ナノイーXをパワーアップして、カビ臭を低減しました。
エオリアのエアコンは、ナノイーXの機能が向上して、カビ臭が低減したというブランドメッセージを出せば、フラグシップモデル以外の宣伝ができます。
しかし、ダストボックスの形状変更は、限られたモデルから置き換えるので、広告効果が下がります。
エオリアAIの進化
AI(人工知能)という広告コピーが強力です。「AI快適おまかせ運転」・・・いや、自動運転モードだろと突っ込みたいです^^
エアコン本体の運転パターンを増やして、諸条件と動作の閾値を組み合わせて選ぶだけです。諸条件の取得方法に、インターネットに接続して「天気予報」の情報を入手していることが、先進性のイメージを植え付けています。
ユーザーは、この広告を通じて、勝手に動作を想像します。けど、違いますのでイメージ先行から現実を見ましょう。
エアコンの運転モード・諸条件が、インターネットに接続して、パナソニックのサーバーに集まる。サーバー上で、地域や生活環境の運転情報を分析・機械学習して、運転モードを常に見直している。サーバーからエアコンに適切な運転モードを送り返して、運転している。
外気温50℃で動作保証
2020年モデルで公表できたことは素晴らしいです。55℃ではなく50℃にしたところに、安全マージンを設けているところも大手メーカーの安心感です。
この数字を公表ためには、エアコンの能力サイズごとの試験・実験が必要でリソースを大量に消費します。
- 1日に2台(午前・午後)
- 1ヶ月(約20営業日)
- 20台しかチェックできません。
試験・実験は、会社の会議室ではなく、試験環境室で行います。別の開発のテストもあるので、順番待ちも発生します。裏側ではちょっと大変な作業があることをを予想すると、ありがたみを感じますね。
近年、平均気温が上昇し猛暑日も全国的に増加傾向にあり、厳しい気候環境にも耐えうるエアコンが求められています。今回、室外機の圧縮機などの運転制御を見直し、室外機性能を最大限活用することで、高外気温でもパワフルな冷房運転を可能にしました。室外機付近が50℃でも安定した冷房運転を実現します。また、厳しい寒さの下では、霜取り運転で暖房が止まってしまうことがありますが、エオリアは、独自のエネチャージシステムで、霜取り運転中でも暖房が止まることなく継続します。
2019年9月25日 のプレスリリースより
2018年の猛暑では「冷えない」という修理依頼も増えたと予想します。フラグシップモデルを購入しても、猛暑の2時間で室温が上がってしまうと、満足度が激減します。
そして、どうなるか?
パナソニックのエアコンは冷えない・・・というネガティブな印象だけが残ります。携帯電話と同じで、必要なときに使えないと、全体がマイナスとなるのです。
空調機の専門某メーカーは55℃・60℃の開発環境ですので、いまさら50℃という感想を持っているエンジニアもいるでしょうね。
パナソニックがメーカー動作保証した意義は大きく、他メーカーも追従します。消費者にとってはよいことです。
「猛暑対応50℃室外機」2020年の広告テーマはこれ!
省エネのカタログスペックでは大きな差ができません。2020年のセールスポイントは、「猛暑対応50℃室外機」が入りますね。
- 猛暑対応50℃室外機が10万円
- 猛暑対応55℃室外機が10万円
どっちのエアコンを買いますか?
開発体制のリソースが多い(アウトソーシングできる)メーカーが強い
動作保証するための試験・実験には、リソース(人・場所・器材)が膨大にかかります。もし、試験・実験で期待数字を満たさなかったら、制御プログラムの修正・調整をします。ある能力サイズだけ「非対応」だったら、信頼度が下がります。
猛暑対応○○℃室外機を公表できないメーカーはどのように対応するか予想する
開発は試験していますが、動作保証はしていません。考慮して開発しています。猛暑の数時間、在宅されていますか? 猛暑対応55℃室外機のモデルよりも、安いですよ。
まとめ
シェアが大きなパナソニックが猛暑対応○○℃室外機を伝えたことは、大きな意味があります。パナソニックがフラグシップ以外のどこまでのグレードに情報を開示するかが楽しみです。
他メーカーが追従することで、猛暑対応○○℃室外機 と 省エネ競争の2つのわかりやすい指標で、販売合戦が始まりそうですね。
補足しますと、猛暑対応○○℃室外機 で猛暑に対応すればするほど、省エネ性能は下がる傾向があるので、バランス感覚が大切です。