さむい・・・です。
夏の冷房が強すぎる話ではありません。暖房能力が不足気味すると、冬にエアコンの暖房を付けても寒さを感じます。
エアコンの暖房を使うかどうかで、暖房能力の必要性は大きく変わってきます。この記事は、エアコンの暖房能力を正しく判断して、ポカポカな部屋で冬を過ごしたい方に向けて書いていきます。
低温暖房能力 (外気温2度時 暖房能力)というエアコン指標が大切です
エアコンのカタログには「低温暖房能力」の表示があります。低温暖房能力は、次の環境条件で測定します。
- 室内20度
- 室外2度
エアコンの暖房を使う環境はもう少し厳しいと思います。室温の温度は25から26度に設定することが多いです。冬の朝と夜は室外の気温が2度を下回ります。
ですので、低温暖房能力の環境条件よりも厳しい環境で使います。低温暖房能力の指標よりも劣ることを考慮します。
低温暖房能力ではない暖房表示能力の環境条件
「低温暖房能力」と切り出していますが、暖房表示能力の環境条件は現実と合わないです。次の温度です。
- 室内20度
- 室外7度
室外の温度が7度、7度を超えていれば、暖房は機能します。氷点下の環境になると、急激なパワーダウンします。温風とは思えないほど冷たい温風がでます。
エアコンの暖房は効きが悪いと思われる理由の1つですね。基準の指標が悪いです。だからこそ、低温暖房能力という基準ができたのです。
エアコンの熱源は外気を冷やした熱です
低温暖房能力を深掘りするために、エアコンの暖房の仕組みをざっくりと説明します。実際にはもう少し複雑ですが、イメージで理解できればOKです。
室外の空気を冷やして室内を暖める
エアコンの暖房を運転します。熱源はセラミックヒーターのような電熱線だと思われがちです。違います。
室外の空気を冷やして、熱を取りだして、室内に入れます。わからないですよね。具体例を示しながら解説します。
外気の温度を0度からマイナス25度に冷やしたら
引き算です。外気から25度の熱を集めたので25度の熱を室温に送ります。室内の温度が0度から25度に上がります。
冬の暖房はイメージしにくいですよね。冬の真逆の夏を想像してみましょう。
蒸し暑い室内をエアコンの冷房で冷やすと室外機からは熱風がでますよね。エアコンの暖房はこんな感じです。
ざっくり過ぎる
あ、実際には諸条件があり、こんなに単純ではありません。
本格的に学ぶなら、熱量計算、伝熱計算、微分積分などの基礎知識が必要です。高校レベルの物理と数学を学び、ざっくりと公式を使うと、正確な数字に近づきます。
ということで、具体的な計算はここでは割愛して、メーカーのエンジニアが算出した値を使いましょう。机上計算して、試験室で実験して・・・労力をかなり投下しています。
パナソニックのエオリア(WXシリーズ)で理解を深める
WXシリーズはパナソニックのエアコンです。しかも、フラグシップモデル。
次のような特徴があります。
- サイズ → 14畳(4.0kw)から29畳(9.0kw)まで
- 同じ筐体 → 室内機・室外機は同じサイズ
- 冷媒量 → すべて同じ
- コンピューター → 制御プログラムでサイズに最適化
こちらの記事も参考にどうぞ。
暖房の最大消費電力はすべてのサイズで同じです
14畳(CS-WX409C2)と29畳(CS-WX909C2)は、暖房の最大消費電力量が4000Wです。低温暖房能力の数字は9.2kw から 9.6kwです。ほぼ同じですね。
最大パワーで暖房運転すると、29畳(CS-WX909C2)と14畳(CS-WX409C2)で同等のパワーです。通常運転はサイズの能力上限に合わせて、制御プログラムを調整しています。
ですが、14畳(CS-WX409C2)の暖房の底力が29畳(CS-WX909C2)と同じなのです。
冷房能力はサイズ別にパワーを抑えています
冷房の能力はサイズの上限に調整しています。筐体で差別化するのではなく、制御プログラムで調整しています。
冷房も14畳(CS-WX409C2)と29畳(CS-WX909C2)で筐体底力は同じです。冷房は上限を守る理由は何かわかりますか?
少し話がそれますが、深掘りします。
同じ製造原価だけど販売価格には差をつける
筐体(室内機・室外機)の製造原価は同じです。しかし、14畳(CS-WX409C2)と29畳(CS-WX909C2)の販売価格には大きな差をつけています。
パナソニックの売り方はお上手です。
WXシリーズはサイズごとに収支を判断するというよりも、WXシリーズ全体として、収支を判断するような考えをしています。
サイズが大きくなるごとに値段も上がることをユーザーは抵抗なく受け入れます。このあたりは書き出すと、深掘りが止まらないので、話を戻しますね。
WXシリーズは23畳用(CS-WX719C2)が基準機種
パナソニックのエオリアWXシリーズは、23畳用(CS-WX719C2)に合わせて筐体と冷媒量を最適化しています。というのも、省エネルギーの数字が良いのです。
この機種から派生させて、制御プログラムを調整してサイズを展開しています。筐体の幅が広いので、省エネルギーの算出区分が異なります。
よい数字を出すために、開発陣の苦労が伝わります。
パナソニックのエアコンは、シェアトップということで、どこのメーカーよりも早く発売します。そんなこともあり、限りある時間の中で、広告的なインパクトも大切ですし。
暖房の能力の調整は難しい
エアコンの最大値の調整は暖房よりも冷房でコントロールしたほうが簡単です。暖房の能力は高いエアコンは、コンプレッサーで空気を圧縮して熱量を増やしています。
ところが人間の感覚は不思議です。
室温が低めでも温風の温度が高いと暖かいと感じます。逆に、室温が高くても、温風の温度が低いと寒いと感じます。
ですので、吹き出しの温度が高いほうが、風量を調整できるので、省エネ性能を追求できる選択肢が増えます。
この記事は「低温暖房能力」でした。。。
パナソニックのWXシリーズを例にしました。ですが、どのメーカーも複数のサイズで1つの筐体を共通化して、制御プログラムで調整することをします。
暖房の能力を期待するならば、フラグシップモデル・高級モデルがおすすめ
エアコンの暖房は最大能力で運転させるメーカーが多いです。なので、スペック表を眺めてみてください。
低温暖房能力と最大暖房電力量の関係を調べると面白いです。
さらに、フラグシップモデル・高級モデルは、サイズが大きい筐体との共通化します。暖房能力も強力になります。温度が高いから、風量の制御、各種センサー、そして気流制御などがあるので、省エネルギーの性能を高くできるのです。
通年の省エネルギー性能は期間消費電力量の数字です。
暖房を強力にするだけでは売れない
難しいところです。暖房の能力を強くすればするほど消費電力が増えます。省エネルギー性能が悪くなります。
売れません。
かといって、暖房能力を抑えすぎると、●○のメーカーのエアコン暖房は温かくないと評価されます。販売実績に影響を与える省エネルギー性能の数字とのバランスが重要です。
最後になりますが、エアコンの暖房を使うならば、低温暖房能力の数字が大きいモデルを選びましょう。