国内のルームエアコン需要動向は、パナソニックがエオリア Xシリーズのエアコンのプレスリリース(2019年9月25日)で発表しました。
- 2017年 ・・・ 906万台
- 2018年 ・・・ 982万台
- 2019年 ・・・ 940万台(見通し)
- 2020年 ・・・ 900万台(予測)
2019年の需要が42万台ほど減る理由は?
2019年7月は冷夏で販売台数が激減しました
激減の規模は、2018年7月の販売台数の40%前後です。
2018年7月が猛暑で、エアコンの販売台数・設置台数が爆増しました。エアコンの需要に対して、部材の供給と取付工事が追いつかない事態が発生しました。
エアコンメーカーの上位5社(パナソニック・三菱電機・日立・ダイキン・富士通ゼネラル)は、エアコンの在庫を放出しました。
エアコンが飛ぶように売れて喜べない。エアコン業界の難しさと面白さです。暑さを乗り切る緊急の買い替えなので、ローコストモデルだけが売れます。
9月に消費税前の駆け込みが思ったほどなかった
某テレビ通販(ジャパネット○●○)は、「消費税前のお得」を繰り返し、繰り返して、どんだけ連呼するのかというほど、繰り返していました。この連呼することで、急激に売上が伸びたと考えられます。
- 増税前がお得(繰り返し)
- 今は「この価格」でお得でしょ
- 「下取りするから」さらにお得でしょ
- 今回はさらに「○●」をプレゼント
- 増税前の申込は「○●日」まで
- そこに「分割手数料は無料」のキラートーク
繰り返し・繰り返し・繰り返しは、テレビ放送の強いな訴求力です。これが、メインターゲットの50代以上の方々に刺さりまくっています。
家電量販店・通販事業者は、期待するほどの駆け込み需要がなかったようですね。駆け込み前は静観して、ボーナス商戦とポイント還元を狙っているようでした。
賢い選択です。年末に向けて商品価格を抑えて仕入ができる可能性があるからです。冷夏で7月に売れず、8月から売上が伸びました。増税前の1ヶ月で購買を煽るよりも、年末に向けて安く仕入れて、春商戦(引越)に合わせて、売った方がいいですもん。っと、考えています。
「猛暑の激増」よりも「冷夏の激減」の戦略のほうがありがたい?
エアコンメーカーの上位5社は、ローコストモデルの販売益はごく僅かです。販売協力費を支払うと、ローコストモデル単体の一定期間の収支がマイナスとなることさえ発生します。
本音は、ローコストモデルがほどほどに売れて、中級グレード・高級グレード・プレミアムグレードを売りたいのです。
上位5社のローコストモデルが欠品すると、コロナが爆増します。
大手5社のローコストモデルのエアコンが欠品すると、コロナのエアコンが売れます。市場シェア比率が5%前後で動くインパクトがあります。
メーカーの立場を考えると、ローコストモデルは利益が薄いから欠品にすればよいと思いませんか?
ローコストモデルの利益を捨てるよりも大きな損失が発生します。
その1:買いたかったのに買えなかったネガティブな印象が残る
エアコンが壊れて暑いです。不満の解決するため、エアコンを買う決断しました。最高潮の買いたい気持ちが、欠品で買えないというネガティブな印象にひっくり返ります。
買い換えようとしたとき、○●のメーカーが欠品で買えなかった。
このネガティブな印象だけが印象に残り続けます。これまでに築かれたメーカーのロイヤリティーが低下します。
その2:見込み客を失う
買い換え・買い増し理由の上位には「同じメーカーだから」があります。他メーカーに浮気される理由を与えます。
これまでの選択肢にないメーカーだったとしても、暑さを助けてくれたというポジティブな印象があります。
その3:販売協力費(店頭説明員・工事業者)の稼働率が下がる
買いたいという人に「欠品のお詫び」が店頭説明員の仕事になる場合もあります。大切な仕事ですが、もったいない労力です。
取付工事ができるのでエアコンを買います。夏の繁忙期は、取付工事業者の作業をまとめて確保します。メーカー専属の工事業者もいますが、多くは複数のメーカーのエアコンを取り付けます。
業者は固定の売上を確保しつつ、在庫がある他社メーカーのエアコンを取り付けるということになります。業者は特需、メーカーは損失です。
まとめ
2019年7月の冷夏で、エアコンの販売台数が減ったという事実からの考察でした。上位5社は、猛暑の急激な増加が原因で、シェアを守る戦略を進めているようです。ここについては、調査分析を進めます。