ヨドバシカメラのエアコン販売は上手です。
家電量販店ではエアコンは本体と工事を合わせた商品です。本体の在庫を並べても売れないのです。取付工事する人員の確保にもコストがかかります。
本体の在庫と取付工事のバランスが大切です。ヨドバシカメラはこのバランスの保ち方が上手です。
結果、メリットは「取付工事までの日数が短い」ことです。
ヨドバシカメラの販売を切り口にして、家電量販店の工事と本体のセット販売を深掘りします。
家電製品で出荷台数が増え続けているエアコン
家電製品の売れ行きは不調というトレンドです。
冷蔵庫、洗濯機、電子レンジが苦戦です。テレビはアナログ放送から地上デジタル放送の切り替えで、爆発的に売れました。その後は、低迷しています。
ところが、エアコンだけは販売台数が増えています。なんと、2018年の出荷台数は過去最高でした。
エアコンの販売台数は増え続ける
2019年、出荷台数の予測は2018年と同等か少し下回るというのが大筋です。とはいっても、各メーカーが出荷台数の予測を独自にしています。
予測台数には希望的観測が含まれています。
猛暑の直後は販売台数が3から4倍に増える
2018年7月21日ごろ、日本列島に猛暑が襲いかかります。
暑いのでエアコンをつけます。冷えないというトラブルが発生します。行動は次のパターンです。
- メーカー修理依頼 → 待ち日数とすぐに直る確証なし
- 家電量販店に駆け込む → 取付工事の待ち日数に絶望
- 待ち日数が短い販売店を死に物狂いで探す
エアコンの取付工事の待ち日数が10日以上先、2週間後、3週間待ちもあります。今すぐ、暑さの苦行から解放されたいのにされません。
フラストレーションがたまります。とはいっても、猛暑が始まると取付工事の台数は3から4倍に増えます。
取付の業者もフル稼働です。取付できる台数には限りがありますので、待ち日数がどうしても生じます。
ヨドバシカメラの待ち日数の短さは家電量販店でトップクラス
家電量販店の売上規模の最大手はヤマダ電機で、ヨドバシカメラは5位です。このポジションを活かして、工事業者の囲い込みに力を入れています。
エアコンの販売は「にわとり」と「たまご」です
家電量販店の販売方針は2つあります。
- 販売してから取付工事の人員を確保する。
- 取付工事の人員を確保して、限界キャパまで販売に力をいれる。
前者は事前に取付工事の人員を確保しないので、持ち出しのリスクを軽減します。ところが、取付工事の人員がいっぱいだと、エアコンが売れず、販売台数に急ブレーキがかかります。
後者は販売計画に合わせて取付工事の人員をほぼ固定費として確保します。結果として、取付工事の人員だけエアコンを販売できます。
取付工事の人員の確保にコストを投下しますが、手堅く販売をしています。
ヨドバシカメラは取付工事の人員を手堅く確保します
ヨドバシカメラは取付工事の人員確保に力を入れています。超繁忙のときでも、数日の待ちに数で乗り切っています。(2018年の実績)
WEBサイトで取付工事の空き状況を公開しています。ヨドバシカメラの取付工事の待ちが短いことがメリットです。
これで終わらないのが、エアコン情報局です。どうして、取付工事の待ちが長くなっているのか理由の考察です。
取付工事の可能台数が減少しています
取付工事は労働集約型のビジネスなので、人員不足の経済環境の影響があります。ですが、これに拍車をかける事実があります。
室外機の重量が増加してひとりで運べない
室外機の重量が50キロを超えるモデルも珍しくありません。ひとりで運ぶことには危険が生じるので、2名で動きます。
エアコンの取付工事は1名の対応が原則でした。室外機が重量級となり、2名で行動するようになりました。そのため、業界全体として取付可能台数の最大値が下がっています。
取付が複雑であり、隠蔽配管が増えている
エアコンの取付が複雑になりました。
無線LANアダプターをオプションしたり、お掃除ロボットのゴミを排出するためにパイプが増えたりします。1台あたりの取付時間が長くなる傾向があります。
まとめ
人員不足、室外機の重量が増えたので2名体制、エアコンの取付時間が長くなるということも重なるという原因です。
エアコン業界全体として取付工事の最大台数が減っています。
販売台数が増えているのに取付工事の最大台数が減っているという状況です。ということは、エアコンの取付工事のキャパを確実に確保したところが、エアコンの販売台数を増やせるのです。
ヨドバシカメラは取付工事の人員確保に注力しています。なので、エアコンの販売実績も増えているのでしょう。そして、待ち日数が少ないので、消費者の満足度も高まります。
ヨドバシカメラの丁寧なオペレーションは参考になりますね。以上です。