ヤマダ電機の店頭にはダイキン製品が一切ありません。それらはエアコンと空気清浄機。ダイキン製品の店頭販売がないだけでなく取り寄せることすらできません。
この件を深掘りしてみます。
ヤマダ電機 VS ダイキン
公式通販サイト
にもダイキンのエアコンと空気清浄機がありません。ダイキンのエアコンが操作できるリモコンだけですね。
ダイキンエアコンがあった時代
ヤマダ電機の創業は1980年代。当時はダイキンのエアコンを売ることにも力が入っていました。大量仕入の値下げ戦略で急成長した1990年代にダイキンのエアコンが消えました。
そのタイミングでヤマダ電機 VS ダイキンの戦いが勃発です。戦いの結果は、ヤマダ電機からの撤退です。指数関数のように流通額が増えるヤマダ電機からの撤退を決めたダイキン。ダイキンが空調専門メーカーとしてのポジションが強くなりました。
総合家電メーカーと空調専門メーカー
一張羅(いっちょうら)とは、ほかには持たず、たった1着きりの衣服のことです。ダイキンの一張羅はエアコンです。エアコンの代替えとなる商品アイテムがありません。
一張羅のエアコンで利益を確保することによってダイキンが存続します。値下げ競争の流れに飲み込まれて、シェアを維持するために利益度外視を続けたら、どうなっていたでしょうか?
ダイキンはエアコンの品質と技術、アフターサービスの価値を認めてもらえる販売先を選びました。
総合家電メーカーの戦い方はシェアの確保です。
エアコンの利益が確保が難しくてもエアコン以外の商品で利益の確保ができます。テレビ、オーディオ、冷蔵庫、掃除機、オーブンレンジ、ドライヤーなど。生活の空間に満遍なく浸透することが大切だったのです。
当時はネットで調べることができません。商品の比較検討に必要な情報は、家電量販店とカタログで入手しました。そうなんですよ一苦労ですね。そのため、同じメーカーの商品を買い続ける慣習がありました。
ダイキンがないヤマダ電機のメリット
ヤマダ電機の急拡大は、大量生産と大量仕入で大幅な値引きがあったからです。パナソニック・三菱電機・日立のナショナルメーカーは大量ロットで仕入れてもらえるヤマダ電機は好都合な取引先です。
ダイキンのエアコンがなくても、他メーカーで十分に穴埋めができます。売り場から撤退というカードが抑止力となり、商談を有利に進めていました。
ヤマダ電機の商談
ヤマダ電機だけで最大手の家電量販店になれるか?もちろんヤマダ電機で商品を買う消費者がいるからです。
商品を売る前には仕入が必要ですね。ヤマダ電機はメーカーとのパートナーシップを大切にしている一面もあるのです。仕入れ先のパートナーも大切です。
拍子抜け
最大手の家電量販店だから横柄で横暴な対応していると想像されがちですよね?
が、真逆ですね。
メーカーの立場と担当者にはきめ細かい配慮があります。どのように売っていくか真摯に向き合います。メーカーの販売計画など盛り上がり商談も多いです。
この商談では過度な値引きがないことも特徴の1つです。
商談スペース
ヤマダ電機の商談はどこですることが多いか?
高崎市の本社には商談スペースです。ワンフロアーの商談スペースには、トヨタの看板式のようなタイムボードがあります。商談時間がしっかりと区切られています。
フロアー全体に照明をオンにはしません。商談スペースごとにスイッチがあって必要なときだけ照明をオンにします。そのため薄暗いです。
電気代の差は微々たるものでしょうが、コスト意識を忘れずにという教えなのでしょうね。
さらには、同じフロアーには商談スペースとは別にメーカー、納入業者を含めて取引先用のワーキングスペースがあります。メーカーの担当者は商談前後で仕事ができるようになっています。
年末挨拶は特別商談
業界関係者の噂話です。ということにします。
節目の挨拶がありますよね?人と人のつながりを大切にする業界であり、お礼と顔を合わせします。どちらかというと和やかな雰囲気で気持ちよく終わります。
ヤマダ電機は心臓がバクバクします。
なんとヤマダ電機の社長が参加します。商品提供に対する感謝であったり、商品の素晴らしいことを丁寧に伝えて最高潮に盛り上げていただけます。
場の空気も和みますね。挨拶の会が終わろうとするタイミングを見計らったかのように特別商談が始まります。
あと(ピー)%のリベートをどうかお願いします。
丁寧、丁寧、丁寧…そして、ここまで頭を下げるのか…というほど懇願されるそうです。
最大手の家電量販店のトップがここまで頭を下げているので、ゼロ回答はできません。挨拶が終わったらリベートの原資を準備するため、メーカーの社内調整が始まります。
事前準備はメーカーもしています。どちらかというと恒例行事ですかね。ヤマダ電機の急成長をメーカーが支えた1つのできごとです。繰り返しますが、業界関係者の噂話ですので、現在も続いているかはわかりません。
住宅事業はヤマダ電機でダイキン解禁か?
「か?」って、東スポの見出し記事のようですね。失礼しました。
2018年10月に複数の子会社を吸収合併してヤマダホームズが誕生しました。ヤマダホームズは注文住宅、建売住宅、リフォーム、不動産を取り扱います。
「スマートハウス」住宅で暮らしまるごと、あなたの未来を豊かに。コーポレートスローガン。家電と住宅が統合される未来が近いです。
天井ビルトインエアコン・マルチエアコン
住宅に組み込まれたエアコンはダイキンのシェアが強烈に高いのです。パナソニック、三菱電機、日立からも販売がありますが、ダイキンには負けています。
ヤマダ電機の住宅部門(正確にはヤマダホームズ)はダイキンのエアコンを取り扱っています。家電量販店では御法度のルームエアコンも、住宅設備用エアコンなら選ぶことができます。ぴちょんくんのお店向けエアコンがダイキンの住宅設備用エアコンです。
家電と住宅の統合
スマートハウスが増えることで住宅に家電が組み込まれます。エアコンが住宅の設備に組み込まれていくと、家電と住宅設備が1つに向かっていきます。
住宅設備としてのエアコン分野ではダイキンがトップです。ところが、住宅領域ではヤマダホームズがビギナーです。両社の関係がどのように動くか興味があります。
パナソニックの天井ビルトインエアコン
天井ビルトインエアコンとはハウジングエアコン・天井カセットエアコン(天カセ)のことです。あとは住宅の中に組み込まれているので、これらを住宅設備用エアコンと呼ぶこともありました。バラバラです。
パナソニックのマーケティング戦略が上手です。様々な呼称がありますが「天井ビルトインエアコン」と再定義して広告を投下します。住宅に埋め込むエアコンを「ビルトインエアコン」というカテゴリーとして確立させていく兆しです。
住宅設備の領域でも、パナソニック、LIXIL、TOTOが協力です。パナソニックは建具と床材などの木材も扱っています。既存の販売ルートを活用して、ビルトインの流通を増やすことが見込まれます。
ヤマダ電機 VS ダイキンの家電領域と住宅設備の領域が統合されていくスマートハウス。ヤマダ電機がどのように動くだろうか…