エアコンの型落ち(旧型)モデルを安く買うためにモデルチェンジのタイミングを調べたことありませんか?
インターネットで調べたり、家電量販店で質問してもわからないことがあります。新型モデルの発売が「前年の秋」「1月から2月」「3月から4月」と様々な回答があります。すべての回答が正しいです。モデルチェンジの全体像を1つ1つ説明していきますね。
エアコンの流通とメンテナンスで培ったノウハウに基づいて、調査・取材した情報をまとめています。ちょっとだけ詳しいと思います。
モデルチェンジの法則
結論から書きます。
「前年の秋」から「翌年の春」がモデルチェンジの期間
2019年モデルのエアコンは2018年の10月ごろから順次発売します。そして、2019年の4月までには全グレードの販売体制が整います。
日本国内のエアコンメーカーはモデルチェンジの法則が当てはまります。全シリーズのエアコンがモデルチェンジするには半年の期間が必要です。モデルチェンジはいつかという質問に対して、様々な回答がある理由です。
モデルチェンジの概要
前年10月にフラグシップモデルを発表します。高級モデルと中級モデルのモデルチェンジ。翌年の3月にローコストモデルが発売します。冬のシーズンは暖房の能力が強いフラグシップモデルが売れるので、新型モデルと型落ち(旧型)モデルが併売されます。
モデルチェンジが半年の理由は?
理由は2つあります。
- エアコンの販売価格が暴落することを防ぐこと
- 在庫を確保して安定供給すること
エアコンの市場在庫が増えて、販売価格の暴落を防ぐため天候によって、エアコンの販売台数が増えたり減ったりするので、天候予測を参考にして生産台数を決めるのです。そして、他社のエアコンのラインナップ、物流倉庫の空きスペース、工場の生産を考慮しています。
一般消費者向けのエアコンは季節の影響で需要が大きく変化します。市場にエアコンの在庫が増えると販売価格が暴落します。消費者にとって価格が下がると嬉しいことです。ですが、適正な価格で販売ができないと、販売店と取付工事の業者の事業が安定しないので、長い目で見ると消費者にもデメリットです。
さらに、国内のエアコンメーカーは数社。生産管理と物流倉庫のスペース確保します。例えば、型落ち(旧型)モデルの在庫が物流倉庫があると、新型モデルを生産しても保管することができません。なので、在庫状況と生産台数をチェックしながら、新型モデルを発表するという事情があります。
パナソニックの新型モデル発表が一番手
新型モデルの発表はパナソニックからスタートします。このパターンが多いです。その後、日立、シャープ、ダイキンが続き、三菱電機と富士通ゼネラルが追従する傾向ですね。各社の戦略がバチバチしている様子がわかります。
パナソニックはどうして発表を急ぐのか?
パナソニックの国内シェアトップです。このシェアトップを支えているのは広告戦略です。媒体枠を計画的に大量に抑えるには時間が必要です。さらに、前もって媒体枠を購入すれば大幅なディスカウントがあるからですね。
製品のスペックには製品発表に合わせるために、見切り発車した痕跡がいくつもあります。欠陥とかではなくサイズ能力ごとのカスタマイズを割愛したとかです。エアコンの性能試験って時間と手間がかかりますよね。
季節ごとのエアコン業界裏事情
1年を4つに分割して説明します。型落ち(旧型)モデルが狙えるタイミングです。
- 1Q (1月-3月) : 高価格帯モデルの最終処分 と ローコストモデル
- 2Q (4月-6月) : ローコストモデル
- 3Q (7月-9月) : 壊れたので買い換え。ゲリラキャンペーン多い
- 4Q (10月-12月) : 高級と中級モデルの値引き増
1Q (1月-3月) : 高価格帯モデルの最終処分 と ローコストモデル
家電量販店の売り場スペースには新型モデルが並んで、前年度(旧型)モデルの取り扱いが減少します。そして、メーカーから派遣された販売員が、暖房機能がすごい高価格帯のエアコンを丁寧に説明して販売してくれます。全体的な安売りはありませんが、まとめて買う場合は個別交渉で1台あたりの価格がびっくり値引きになることがあります。
ローコストエアコンのモデルチェンジが3月のため、住宅設備ルートへの納入台数をクリアできると、激安合戦がスタートします。住宅設備の卸業者と販売店には、中級モデルとローコストモデルのエアコンが大量に流れると、倉庫スペースと支払いのため現金化が必要になるので、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングに台数限定の目玉商品が並びます。ネットショップの販売価格は上がったり下がったり、在庫の変動も激しいから、安いと判断したら迷わず購入がオススメです。
2Q (4月-6月) : ローコストモデル
4月は、多くのエアコンメーカーで人事異動。すると、新担当者との顔合わせして、通年の販売計画をすり合わせします。そして、商談中、前年度(旧型)モデルを型落ちモデルを使ってキャンペーンを提案します。
売り切ったはずの型落ち(旧型)モデルの在庫数がそこそこ出ます。理由は納入待ちの引き当て済みの在庫がキャンセルされるからです。新型モデルに切り替わっているのと、メーカーと商社(流通)でキャンセルによる営業成績が下がることを防ぐため、4月に売りを計上したいという思惑があるんです。このキャンペーンに遭遇すると、原価を割って処分する場合があるため、お買い得です。
しかし、基本的にはローコストモデルを含めて全モデルが新型モデルに切り替わっているので値段は高めになるのです。
3Q (7月-9月) : 壊れたので買い換え。ゲリラキャンペーン多い
夏はエアコンの販売台数が伸びます。買い換えの理由は壊れたなので、そこそこの値引きがあって、取り付け工事までの待ち日数が短いところが販売に影響します。メーカーが取り付け工事のチームを編成して、取り付け待ちを減らすようなサービスもしています。
販売台数を稼ぐことをベースに進めながらも、メーカーから派遣された販売員が、省エネ性能や付加機能を丁寧に説明することで、中級モデル、高級モデル、フラグシップモデルへの買い上がりを狙います。大幅な値引きは難しいことが多いですが、化粧カバープレゼントなどプラスアルファのサービスしていることがあります。
しかし、9月になって外気温が30度以下になると、エアコンの売り上げが急激に減少します。9月までメーカーも販売店も工事チームを固定費で編成しているところは、工事がない日を防ぎたいです。なので、取り付け工事日が直近だった場合には、値引きしてくれることがあります。また、販売店の物流センターでは、暖房器具の仕入れに向けてスペースの準備が必要です。在庫数が少ないエアコンはスペースの有効利用ができないため、ゲリラ的な値下げがあります。
4Q (10月-12月) : 高級と中級モデルの値引き増
新型のフラグシップモデルの出荷が始まります。フラグシップモデルは販売店に在庫しない(or 少ない)ですが、旧型になるプラグシップモデルを在庫して、キャンペーンを展開します。
暖房需要が高まる前に、販売店の売り場では大幅な値引き、2台以上のまとめ購入割引などのキャンペーンがあります。フラグシップモデルは、新型モデルと旧型モデルの併売を避ける傾向があるため、11月中には、旧型モデルを売りきったり、アウトレット店舗だけで取り扱ったりします。
注意点は、ローコストモデルは値段が下がらず、強気な価格設定になることがあります。理由は、賃貸住宅、新築住宅にローコストモデルの需要が春まで続くので、在庫切れを懸念して値引きを控える傾向があるからです。