寒冷地エアコンと普通のエアコンの違い【2019年の考察】

寒冷地エアコンと普通のエアコンの違いをシンプル解説します。違いがわかったところで、各メーカーの戦略を深掘りします。

温風が止まらないエアコンが寒冷地エアコンです

寒冷地エアコンの条件は暖房運転が止まらないことです。そのために、室外機に凍結防止用のヒーターを付けています。

違いはこれだけです。

  • 寒冷地エアコン → 室外機に凍結防止用ヒーターあり
  • 普通のエアコン → 室外機に凍結防止用ヒーターなし

霜取り機能で温風が止まる

寒いと感じるときほど、「ぷしゅー」っという音を発して、温かい風が出てこない経験をしていませんか?

エアコンの暖房を運転すると室外機の中に氷ができます。室外機の氷が原因で室内が上がりません。なので、暖房運転中に室外機の氷を溶かすモードに切り替わります。

すると、10分から15分ぐらい温風が止まるのです。

室内機の温度を上げると室外機の温度が下がる

冬の暖房運転の前に、夏の冷房運転を思い出してみましょう。

エアコンを冷房運転すると室外機からは熱風が出ます。室内の熱をぎゅーっと圧縮して、室外に熱を排出しています。

冷房の真逆を考えてみます。室外の熱をぎゅーっとかき集めて室内に熱を送り込みます。

ちょっとまって、寒い真冬には熱がないと疑問に思いますよね。温度差と置き換えてみるとわかりやすいです。

外気温が0度でも室外機がマイナス25度なら、熱の差分は25度です。

熱の差分のエネルギーで、室内機から温風を出しています。室外機の温度をより下げれば、より温かい風がでます。

これが原理原則です。

ここで解説を終えないのがエアコン情報局です。業界のネタに深掘りします。

暖房の常識が「火」だった北海道・東北地方

寒冷地の代表は北海道・東北地方です。それらのエリア以外にも、真冬には氷点下が続くエリアが日本にはあります。寒冷地の暖房事情をまとめます。

火を使う石油のストーブで24時間の運転

氷点下の外気温が続くエリアでは、暖房を止めません。暖房を止めると室内が冷蔵庫・冷凍庫の中です。人間が暮らせる環境ではありません。

なので、石油ストーブを運転し続けます。暖房といえば、常に火が燃えているストーブが常識なのです。

エアコンの暖房運転で、温風が止まることは強烈なストレスです

暖房の常識は途切れることなく温かいことです。だからこそ、エアコンの暖房運転で、霜取り機能で温風が止まることは信じられないのです。

追い打ちをかけるように外気温が低いので、霜取り機能が高い頻度で動きます。ストレスがマックスなのです。

温度計の室温と人が感じる室温との違い

暖房の熱源が止まったら、瞬時に室温が下がりません。これは事実です。ところが、熱源が消えることで、人は「寒い」と感じます。結果、すぐに室温が下がったと認識をします。

例えば、ガスコンロでお鍋を食べるときを想像してください。温かいですよね。さらに、ガスコンロで燃える火の視覚的効果で、より温かいと感じます。そんなとき、火が消えるとすごく寒く感じます。この現象なのです。

ということもあり、温風が止まるから、暖房器具の選択肢にはエアコンがなかったのです。

住宅性能の向上と夏が暑い温暖化

寒冷地の夏は涼しいので、冷房がいらないです。そんな常識のため、エアコンがない住宅がたくさんあります。

クーラーがないと夏が辛い

ところが、夏の平均気温、最高気温が上がっています。クーラーがない夏の生活は辛すぎます。快適に過ごせないし、最高気温によっては熱中症の危険もあるのです。快適な生活にはクーラーが必要になりました。

住宅性能の向上で高気密で高断熱

寒冷地の住宅には、石油ストーブ用の「排気口」があります。一方で、夏の暑さ対策でエアコン用の「穴」も必要です。

2つの穴が1つなればいいと思いますよね。石油ストーブにはクーラーがないのでエアコンを暖房と使えないかと思います。

石油ストーブとエアコンの2つの空調機器を揃えるとお金がかかります。住宅を販売する立場の会社も、穴を2つあけるよりも1つのほうがコストを削減できます。

そんな状況の中、住宅の断熱性能が向上しました。そして、気密性が高いです。なので、冬の暖房効率を高めています。

寒冷地でもエアコンを使いたいという要望が強くなりました。

パナソニックが寒冷地エアコンのカテゴリを確立しました

ダイキンのマーケティングが上手だったら、、、極めて低い外気温からの暖房技術は、ダイキンのエアコンのアドバンテージがありました。

さらに、三菱電機と日立が抜け目なく寒冷地エアコンを市場に投下しました。シェア5位の富士通ゼネラルは、フラグシップモデルと高級モデルとコンポーネントの共通化により、高効率な開発と生産をしています。

ダイキンが寒冷地エアコンを投下しました。しかも、パナソニックのマーケティングとプロモーションを中途半端に真似ています。

ダイキンは空調機器専門のメーカーです。技術力は高いです。ですが、エアコンは寒冷地で売れないという業界の常識に縛られてしまったのでしょう。

極寒でも動く暖房技術はフラグシップモデル・高級モデルで搭載済み

寒冷地エアコンのベースは、フラグシップモデル・高級モデルです。超低温の外気温からでも、高温の温風を出す暖房技術は開発済みでした。

繰り返しますが、この分野でダイキンエアコンがリードでした。

寒冷地エアコンの物理的な違いは、室外機に凍結防止用ヒーターを付けたことです。そして、霜取り運転で温風を止めない技術を確立することだったんです。

パナソニックのマーケティング(北海道陸別町の実験ハウス)

開発陣の方に大変失礼なことです。なんですが考察します。

エアコンを開発するとき、空調試験室を使います。空調試験室では、外気の環境(気温や湿度など)が再現できます。

霜取り運転をさせないために、室外機に凍結防止ヒーターを付けて、制御プログラミングを開発することは、空調試験室で完結がほぼできます。

北海道の陸別町に実験ハウスを建てました。そして、外は猛吹雪ですが、実験ハウスには温度計があり、一目瞭然で温かいことがわかるようにしました。

猛吹雪の極寒エリアで、石油ストーブを使わなくとも、エアコンで十分であることを伝えました。映像のインパクトが強烈です。このコンテンツによって、寒冷地でもエアコンが使えるということが伝わりました。

北海道電力と東北電力とのタイアップ

節電は大切です。ですが、電力会社は電気を売ることで収益が発生します。もう、わかりますね。

冬のエネルギーの主力が石油です。ですが、パナソニックが寒冷地エアコンを市場に投下すると、北海道電力と東北電力は電気の売上を増やすことができます。

広告が大量投下されることで、暖房は石油ストーブという常識から抜け出したのです。

利用者の声は王道。そこに、寒冷地の地元タレントをプラス

寒冷地エアコンが発売されて4年。利用者も増えています。利用者の声を掲載して、石油ストーブをエアコンに置き換えても、暖房で満足できる安心感を伝えます。

そのとき、現地のメディアで情報発信力がある地元タレントを大量に起用して、ぶっちぎりのポジションを狙っています。

パナソニックのネーミングが素晴らしすぎる

次の3つです。次のキーワードを使うことで、利用者の声と地元タレントの情報発信をスムーズにしています。

  • ノンストップ暖房
  • パワフル暖房
  • 北海道陸別町のお墨付き(エリア)

広告代理店の皆さんの努力が伝わります。ダイキンは、低音環境下での暖房技術と霜取り運転を減らす技術がありました。マーケティングの技術力で完敗です。

悲しい:ダイキンは寒冷地エアコンのプロモーションが下手すぎる

技術屋さんのメッセージは、個人的にはとても好きです。ですが、プロモーションが下手すぎて残念です。

この2つの技術は、冬の連続運転という習慣に対応するためです。

10度からの暖房設定が可能

https://www.daikinaircon.com/kanreichi/choose/index.html

寒冷地は室内の凍結を防ぐために、常時暖房を入れる習慣があります。人がいなければ、暖房の設定温度を16から18度よりも10度にしたほうが節電できます。

着雪を防ぐ室外機ファン運転が可能

https://www.daikinaircon.com/kanreichi/choose/index.html

室外機の風が止まると雪が積もります。そうすると、雪かきが必要です。

三菱電機と日立は抜け目がないラインナップ

寒冷地エアコンは暖房機能を強化したフラグシップモデルと高級モデルがベースです。そのため、本体価格は高いです。そこに、機能をばっさりと省いて、中級モデルの寒冷地エアコンを投入しました。

パナソニックの開拓した寒冷地エアコンのカテゴリを使って、しれっと、中級モデルでシェアを奪うところが上手です。

2019年モデルの寒冷地エアコンのラインナップは、フラグシップモデル(高級モデル)と中級モデルです。

三菱電機は床置きエアコンを強化

北海道・東北地方、寒冷地の住宅には、エアコン用の穴がないことがあります。ただし、石油ストーブ用の排気口があります。そうです、石油ストーブの置き換えようとして、床置きエアコンをしれっとラインナップ強化しています。

まとめ:パワフル暖房が欲しければフラグシップモデル

寒冷地ではないエリアにエアコンを設置で、暖房を強化したいから寒冷地エアコンを購入するか迷うこと思います。

通常のエリアに設置でしたら、フラグシップモデルか高級モデルで十分です。これらのモデルにも霜取り運転を軽減する機能が搭載されています。軽減する機能が搭載されています。

正直、凍結防止用ヒーターを使うほどでもありません。寒冷地の常時暖房の習慣に適応するため、ノンストップ暖房を強化しているからです。

暖房能力が格段に上がったフラグシップモデルと高級モデルを購入しましょう。

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