【要注意!!】エアコンの冷媒(フロンガス)を自然冷媒(ノンフロンガス)に入れ替える危険性をご存知ですか?

空調機の冷媒ガスを交換するだけで、電気料金の削減・改正フロン法の対策・地球温暖化の防止にも貢献できるとSDGs風をうたい、メーカー指定のR410A・R32等のフロンガスを抜き取り、R443aなどのノンフロンガスに入れ替える業者がいます。

エアコン本来の冷媒ガスをノンフロンガスに入れ替えることは非常に危険であり、絶対にお勧めできません。

今回はなぜ冷媒の入れ替えが危険なのか、この話をしたいと思います。

エアコンの冷媒ガスを自然冷媒ガスに交換する事がなぜ危険なのか?

実はつい最近、某店舗(昔からのお客さん)から空調機のリモコンにエラーが出ているので見に来てほしいということで確認にいくと,どうやら室外機異常。

経験的にコンプレッサ故障がピンときて、

屋上の室外機置場へ行ってみると、、

なにやら火気厳禁の怪しげなシールがすべての室外機に貼られており、どうやらこの手の業者によってガスをすべて入れ替えられてしまった状況でした。

10馬力パッケージエアコンが20台くらいありましたからガス量130~40kgくらいはあったでしょうか。

すべての空調機の冷媒がR443aに入替えられてしまっていました、、、

これではこちらとしても点検も修理もできませんしメーカーさんも動いてくれません。

自然冷媒(ノンフロンガス)R443aは可燃性が高い

R443Aアメリカ暖房冷凍空調学会(American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineers:ASHRAE)が Standard 34に準拠して命名した炭化水素系混合冷媒ガスの一つ。(中略)

地球温暖化係数(Global Warming Potential:GWP)が3と極めて低く、またR22に対する成績係数(Coefficient Of Performance:COP)比は105~110と良好であるが、可燃性が高い(ASHRAEは強燃性と分類)点が実用上の留意事項である。

ウィキペディア(Wikipedia)

そう、このガス燃えるんです・・・

室外機から室内機まで冷媒管(パイプ)でつながっている中に、1台あたり少なく見積もっても3kgはこのガスが入っていると推測できるので20台あれば、合計60kgも、、です、、

普通に使っていても配管の割れや劣化、空調機の経年劣化などでガス漏れってのはたまにあったりもしますから、火災や爆発事故など大事故につながる可能性があり大変危険です。

R443aはプロピレンプロパンイソブタンを、それぞれ55%、40%、5%の比率の混合ガスです。

プロパンといえばそう、あのプロパン、、、プロパンガスです。

コンプレッサ故障などでの配管溶接作業など近くで行う事などもってのほかです。

分厚いボンベ容器に入っている安定状態のガスと違いますから

これじゃ怖くて近づけません・・・

下記に関係各所の注意喚起のページのリンクを貼りました。ぜひご覧になって下さい。

注意喚起(経済産業省) : 経産省・環境省の指示と騙る勧誘に御注意(エアコンに使用されているフロン類の入れ替え)(METI/経済産業省)

注意喚起(環境省) : 環境省・経済産業省の指示と騙る勧誘に御注意(冷凍空調機器のフロンの入れ替え、機器の点検調査)

注意喚起(日本冷凍空調工業会) : 指定以外の冷媒を使用しない!!

注意喚起(茨城県) : 冷凍・空調機器に自然冷媒を使用する場合の注意喚起について

注意喚起(神奈川県) : 冷凍・空調設備の冷媒入れ替えにおける注意喚起

注意喚起(ダイキン工業) : 弊社指定以外の冷媒を冷凍空調機器に封入する改造行為について

メーカーサービスが受けられなくなる

本来エアコンシステムは特定の冷媒に最適化されています。

異なる冷媒を使用したりすると機器の改造行為にあたり一切のメーカーサービスが受けられなくなります。

空調機に限らずあたりまえのことですが、改造してしまったらそこから先は自己責任です。

だれも見てくれませんしもちろんメーカーも修理拒否です。

機器本来の能力の低下

エアコンは特定の冷媒によって設計され、最適な性能を発揮します。

異なる冷媒を使用すると、冷却効果が低下し、エネルギー効率が悪化する可能性があります。これにより、冷却効果が低下したりシステムの寿命が短縮される可能性があります。

電気料金が下がって見えるのは本来の能力が出ていないからなので、同じ能力が出れば同じ電気料金になるわけです

エアコンの冷媒は専門知識が必要であり、安全で法的に適切な手続きを行うには、資格を持った技術者に依頼することが重要です。

省エネ型ノンフロン機器普及促進事業(令和5年度)には該当しません!

2024年2月現在、東京都で行っている助成金事業で都内の温室効果ガス排出量の約1割を占めるフロン排出量の削減に向けて、冷媒にフロンを使用しない「省エネ型ノンフロン機器」の導入に要する費用の一部を助成する事業がありますが、空調機のガスをノンフロンに入れ替えるような工事はこれとは全く別物ですのでもちろん助成金はでません。

参考までに、以下東京都の助成金概要です。

助成の概要

区分概要
助成対象者中小企業者及び個人の事業者(リースを行う場合も含む。)※冷凍冷蔵倉庫及び食品製造工場を除く。
助成対象機器省エネ型ノンフロン機器のうち、次に掲げるもの
①冷凍冷蔵ショーケース(内蔵型・別置型)
②冷凍冷蔵用又は空調用チリングユニット
③冷凍冷蔵ユニット(車載用、船舶用又は輸送用を除く。)※②・③は、圧縮機に用いられる原動機の定格出力が7.5kW以上のもの。
助成対象経費助成対象機器の購入費、運搬据付費及び工事費
助成金の額助成対象経費の2分の1(上限額 1,600万円/台、3,000万円/事業者)※国等の補助がある場合は、その額を除く。
助成条件・都内の事業所に導入されること。・新品であること。・フロンを含む機器を撤去する場合には、法に基づき適切に処理すること。・機器の導入後、東京都が行う調査等に協力できること。
事業期間令和4年度から令和6年度まで(助成金の申請は令和5年度まで)
予算額約3.6億円
受付開始令和4年12月16日(金曜日)※予算の限度額に達した時点で、受付を終了します。
引用:東京都環境局ホームページ

助成金の申請期間は令和5年度までのようですから該当しそうな事業者様などいかがでしょうか?