エアコンの電気代が簡単にわかります。エアコンの消費電力を元に計算ができます。
<1時間あたりの電気代の計算式>
電気代(円)=消費電力(キロワット)×電気代単価(1時間 平均27円)
消費電力はエアコンのカタログに記載があります。メーカーごとに差はなくて、どこのメーカーも共通です。では、パナソニックの記載で説明します。
冷房の消費電力が最小110W~最大780W。
1時間あたりの電気代(円) 最小=(110W÷1000)KW×27円=2.97円
1時間あたりの電気代(円) 最大=(780W÷1000)KW×27円=21.06円
1時間あたりの電気代は最小2.9円~最大21.0円です。ここまでが模範解答です。さっそく、深掘りします。
「冷房の設定温度を上げる」「暖房の設定温度下げる」ことは賢い節電なのだろうか?
設定温度で我慢しても見合うほど電気代が安くなっていない。
家庭用ルームエアコンの電気代は1時間あたり数十円です。1度の設定を見直すことで約15%が節約できるといわれています。
節電をしても電気の85%が消費し続けています。数十円の15%は、たった数円の差が生じるだけです。
数時間と数日と運転時間が長ければ積み上がります。塵も積もれば山となります。節約そのものを否定するつもりはないです。
エアコンの電気代が高い直感に惑わされないで、いくらの節約ができるのか計算をしてみましょう。
1度で15%の節約がすべてのエアコンに当てはまりません。年式が新しい省エネのエアコンは10%以下です。エアコンの性能よりも、住宅の断熱性能が影響を与えます。
設定温度を見直して、快適な空間を失うほどの節電メリットがあるだろうか。25度の室温で適切に過ごしたほうが幸せだと思います。
最適な設定温度は、外気温と室温の差が5度というのは昔話だと認識しよう
20から30年前です。30度を超える最高気温が珍しい時代です。30度の外気温なら25度が室温です。
現代の最高気温は35度から40度が当たり前。室温が30度以上で、熱中症を発します。最高気温は日陰で測定します。太陽の光が当たる場所は60度を超えます。
エアコンの風が肌に当たらなければ、昔も今も25度の室温が適正なのです。
冷房の設定温度は28度の呪縛から解放されよう。
東日本大震災は、エアコンの設定を28度にする節電キャンペーンが大々的に展開しました。28度が人々の記憶に刷り込まれました。
エアコンを28度に設定しても部屋が28度とは限らない
隅々まで均一の室温が希です。天井の上が屋上、太陽の光が差し込む窓際、天井が高いメゾネット、熱源があるキッチン付近は、室温が上がります。それらの付近で30度を超えます。
エアコンから生乾きの臭い風が出ます。エアコン内部には熱交換器というパーツがあります。熱交換器で空気を冷やすと水が出るので、においの発生を抑えます。ところが、設定温度が高いと送風運転となり、熱交換器に水滴が発生しません。なので、かび臭い風が吹き出すのです。
エアコンの設定温度は28度には固執せず、快適な設定温度を探しましょう。
エアコンの冷房性能が強化し続けている
これまでの室外機は、正常に動く温度が50〜55度でした。今は、猛暑で動くように、65度〜70度を想定しています。
夜は冷えるけど、日中はまったく冷えないなどが生じるのです。日よけや水をかけたりして、室外機を冷やすことが、都市伝説のように広まったのです。
残念なことに厳しい環境からの性能指標が公表されていません。同じ能力のエアコンでも、猛暑で直射日光が当たるとき、冷えるか冷えないかの違いが生じるのです。
厳しい環境の能力性能を示す指標がない。だから、省エネ性能が高いほうが売れる
身も蓋もないですが、エアコンの室外機と室内機の基本的な構造はどのメーカーも同じです。小さな違いや工夫があります。同じグレードならA社はB社の2倍の性能があるなど、明らかな能力差がないのです。
基本はパーツ性能が大切です。どのように動かすかはエアコンの制御プログラムがすべてなのです。
限界性能の運転時はメーカーで挙動が違います。動力性能を強くすると省エネが下がるし、省エネを上げると動力性能が弱くなるのです。このあたりの動きを感じると、メーカーのポリシーが色濃くでます。
限界性能を使う短い時間。メーカーで働く人の価値観が反映されています
限界性能で運転するのは1日で数時間です。日中です。仕事で留守にする人が多いです。少し冷えが悪いなと感じても日が沈めば冷えるのです。
例えば、限界性能を発揮できる設定にすると省エネ性能が100%だけど、少し抑えたら105%にできます。どっちを選択するか?ということなのです。
省エネ性能は売上にも影響を与えます。でも、限界性能を伝える指標がないし、抽象的に冷えますとも説明できません。
販売台数に責任が生じる部門、故障ではない依頼に対応するメンテナンスの部門、限界性能を高めたいエンジニアリングの部門で考えが違います。
「省エネ性能も満たして能力があるもの」「競合よりも少し数字を上げろ」と吠える人が登場したりもします。
エアコンの消費電力量には最小値と最大値があります
エアコンの指標は、条件環境での能力性能を示すものです。条件環境だけ最高値をたたき出すことができるのです。
エアコンの消費電力量には最小値と最大値があります。制御プログラムで最小値と最大値の範囲内で動き方をコントロールするのです。
結果、どのような環境が利用者に提供されるのか、メーカーのポリシーがわかります。
こんな視点でエアコンを選んでみると楽しいですね。