賃貸住宅のエアコンが古いので勝手に取り替えたらどうなるか?

賃貸住宅のエアコンが古かったり、最小限の機能だったりしますよね。テレビCMのエアコンは超省電力だったり、便利で快適な機能が盛りだくさんです。

どうして、そんなに差があるのか深掘りしていきます。

賃貸住宅の目的はオーナーが収益を上げること

オーナーが賃貸住宅で儲かることが最優先されます。入居者の快適性と金銭的な負担を減らすことは二の次です。

入居してもらうために、エアコンを設置するのです。

賃貸住宅のエアコン本体には安さが求められる

エアコンの本体代金が高くても日々の電気代の安さは入居者のメリットです。電気代のランニングコストは入居者の負担なので、エアコンの本体代金が安いことがオーナーのメリットです。

利益相反ですね。

ですが、賃貸住宅の最優先事項はオーナーの利益を増やすことです。高機能と超省エネのエアコンを取り付けることはありません。

壊れる要素が増えるエアコンは管理会社の敵

エアコンの付加機能の代表例はお掃除ロボットです。

エアコンのお掃除ロボットはフィルターの掃除がいらないので便利です。賃貸住宅のエアコンにもお掃除ロボットが欲しいと入居者は思います。

賃貸住宅で採用をすることはないです。機能が増えると故障の可能性が高くなります。メーカーは故障を防ぐ対策をしていますが、機能がない対策には勝てません。

さらに、賃貸住宅は入居者が入れ替わるごとにエアコン洗浄をします。お掃除ロボットがあると、エアコンのクリーニング費用が増えるし、お掃除ロボットの機能をクリーニング中に破損したりします。

入居者が快適で便利に暮らすよりも、管理の手間を軽減することを重視します。

夏にエアコンが故障したことを想像してみてください。

管理会社は入居者のことを考えていないと文句の一つでもいいたくなる気持ちはわかります。入居者と管理会社の担当者の立場を入れ替えてみます。

エアコンの故障を指摘して、修理か交換を冷静に伝える入居者だけだったら心配無用ですね。

夏の暑さで入居者は怒り心頭です。荒々しい言葉を発したり、暑いので家に住めないから家賃の減額を要求したり、エアコンの修理か交換が終わるまでホテルで過ごすための費用を請求したり、、、様々な居者がいます。

入居者の気持ちもわかりますが、不動産のオーナーがエアコンの故障に対して費用を補填しません。不動産管理会社は板挟みが仕事の1つです。

ですが、板挟みは回避したいものです。

メーカーは高機能モデルを入居者に使ってほしい

エアコンのメーカーは、売上と利益が増えるので、高機能モデルを売りたいのです。入居者に使ってもらいたいです。入居者も高機能モデルと省エネモデルを使いたいのです。

エアコンが不動産の設備になると、利益相反が生じます。超高級物件を除いて、フラグシップモデル・高級モデルが賃貸住宅のエアコンに採用はされないのです。

賃貸住宅のエアコンを勝手に交換するとどうなるか

エアコンが賃貸住宅の設備に含まれなければ、好きなエアコンを取り付けてOKです。ただし、壁に穴を開けるときは許可を忘れずに。

エアコンが賃貸住宅の設備で、勝手に交換した場合をシミュレーションしてみます。

エアコンの交換はお金を払えばできる

家電量販店のエアコン売り場、ネット通販などで、エアコンと取付交換の工事を依頼すれば、作業は可能です。設備のエアコンの対応は次の2つです。

  • 処分する
  • 保管する

保管するときはシンプル。保管して退去のときに取り外した設備のエアコンに戻せばよいです。

処分したときのケースを検証します。

新設のエアコン購入費用をもらえるか?

もらえません。

不動産管理会社がエアコンの置換をオーナーに説明する手間が生じます。なので、面倒なことという扱いです。

購入費用をもらわずに置いていく場合です。業界では「残置」と呼ばれています。エアコンの残置で生じるパターンです。

残置は認めず撤去を要求される場合

残置の拒否ですと、入居者には撤去と処分の義務が生じます。そのときは、入居者がエアコン業者を手配すればよいのです。

不動産管理会社に依頼すれば、エアコン業者を手配してくれます。不動産管理会社は手数料ビジネスです。2から3割の手数料が発生します。

どちらにするかは入居者が決めればいいのです。ところが、取り外してしまうと設備のエアコンはどうするか?となります。

設備のエアコンはオーナーの資産です。原状回復の義務は入居者に生じます。

  • 全額負担 → 本体代と取付費用の負担
  • 一部負担 → 減価償却に応じた本体代と取付費用の負担

どちらかです。そして、一部負担だったら、割合の決定です。エアコンの利用年数と状況などの条件を総合的に判断しての交渉です。

残置を認めるときの場合

エアコンの譲渡契約書を取り交わすことがあります。エアコンの所有者は入居者です。後々、返却を要求されるリスクを回避するためです。

譲渡契約書を取り交わすときですが、不動産管理会社の事務手数料が生じることがあります。

事務手数料の有無は不動産管理会社の運営方針で決まります。

残置のエアコンを設備に組み込むか組み込まないかはオーナーの判断

エアコンが入居者からオーナーに譲渡しました。残置のエアコンの扱い方は次の通りです。

  • 設備に組み込む
  • 設備から除外する

賃貸住宅のエアコンに適したローコストモデル、年式が新しい、メーカーが同じなどの諸条件が好都合だと、設備に組み込みます。

しかし、次の場合は設備から除外して、管理はしない残置物として取り扱う場合があります。

  • 高機能モデル
  • 年式が古い

高級モデルを設備に組み込まない理由は、設備の管理コスト・修理コストが高いからです。

入居中に買い換えが生じます。エアコンのグレードを下げて取り付けると、入居者とトラブルになります。

例えば、「エアコンの機能が下がったので家賃も減額して欲しい」とか

入居者は高価なエアコンを残置すると、良いことをしていると思いがちです。しかし、諸問題を誘発するので、ありがたくないと受け取られてしまいます。

賃貸住宅のエアコンにフラグシップモデル・高級モデルを取り付けると、残置を拒否されることが増えます。これが理由ですね。

一方で、年式が古いと壊れます。エアコンの交換があるので、設備に組み込まない判断も1つです。好きなエアコンを取り付けることができるメリットとなる場合です。

ですが、新しい入居者の多くは残置のエアコンを迷惑な条件と判断します。壊れたら自己責任で修理しなければいけないからです。

高機能モデルの残置のエアコンが設備に組み込まれると、入居者にはメリットがあります。オーナーと不動産管理会社と利益相反するので、このようなケースは希です。

エアコンの残置を避けたいのが本音

エアコンの残置は面倒です。

オーナーと不動産管理会社は、設備のエアコンを交換したとしても、退去のときに元に戻すことを要求するのです。

入居者ですと、電気代の安さと高機能モデルを使いたい思います。ですが、このような事情があるため、賃貸住宅のエアコンは最小限の機能が選ばれます。