同じ畳数のエアコンですが、2倍、3倍ほど価格の差があります。
価格の違いが大きくて「ぼったくり」と思いますよね。お買い得だと納得して購入したけど、最小限の機能だけのエアコンには最小限の機能のみ。
失敗しないで買う秘訣は「エアコングレード」の理解です。この記事ではエアコンのグレードグレードを深掘りします。
エアコンには4つのグレードがあります
結論からですが次の4つです。エアコン業界では「●○モデル」と表現します。
- フラグシップモデル
- 高級モデル
- 中級モデル
- ローコストモデル
大分類は「松竹梅」の3つ
古今東西、何を分類するときは3つですね。
日本ですと松竹梅。となると、松と梅はどっちが上だっけと思いますね。松が上です。話を戻しまして、エアコンのグレードは4つです。
フラグシップモデルと高級モデルをまとめると3つに分類できます。販売比率を考えるときは3つの分類が多いですね。
グレードごとのエアコンの販売比率
- フラグシップモデル・高級モデル → 10%
- 中級モデル → 20%
- ローコストモデル → 70%
いやいや、こんなシンプルじゃないと思いますよね?
もっと種類が多くて複雑に思えますが、複雑に見えても考え方の根底はシンプルです。シンプルな考え方だからこそ、販売戦略を組み上げるとき好都合なのです。
ローコストモデルは販売比率が70%を突破することも
最先端のテクノロジー、機能、ネットワーク機能などの機能をエアコンに搭載して、広告します。ですが、よく売れるエアコンはローコストモデルです。
売上の割合も多く占めますが、利益が薄いという問題があります。
ローコストモデルを売っても超薄利
本当です。
ところが、ローコストモデルを売らないと、フラグシップモデル・高級モデルそして中級モデルが売れないのです。つまり、ローコストモデルを売っているから上位機種が売れるという法則が成り立つのです。
エアコンのビジネスはパレートの法則(2:8の法則)がどんぴしゃり
エアコンはパレートの法則が当てはまります。パレートの法則とは上位20%の顧客が利益の80%を占めるものです。
エアコンのメーカーは、フラグシップモデル・高級モデル、そして中級モデルを売ることで利益を得られます。
フラグシップモデル・高級モデル・中級モデルの販売目標を達成して、販売比率が増えると、何をすると思いますか?
それらの利益を販促費として使って、ローコストモデルの価格を下げます。すると、ローコストモデルの販売比率が高いメーカーからシェアを奪います。
フラグシップモデル・高級モデルの役割
フラグシップモデルで大切なことはイメージを築くこと。各社とも新しいテクノロジーを開発しています。目ん玉が飛び出すほどの差がありません。
エアコンのサイズが半分になると、消費電気が半分とか、驚愕の差というものがないのです。
イメージ戦略が大切です
フラグシップモデルのエアコンには、最新のテクノロジーを搭載します。快適な部屋のイメージを広告で刷り込みます。
イメージキャラクターに有名人を起用すると、売上が爆発的に上がります。
日立はイメージキャラクターにジャニーズアイドルを採用しました。販売が低迷中の白くまくんの売上がV時で回復しました。表紙がジャニーズアイドルのカタログを持ち帰り、ノベルティを目当てで日立を選びました。
エアコンは室温を調整する道具です。エアコンの効能は、見えないし触れないのです。だからこそ、イメージがとても大切なのです。
フラグシップモデル・高級モデルの販売比率が高いメーカーとは
フラグシップモデルと高級モデルの販売比率が高いメーカーは、次の2社です。
- 三菱電機
- 富士通ゼネラル
三菱電機は高価格帯の住宅設備に入り込んで買い替え需要を獲得しています。なので、住宅設備用エアコンのフラグシップモデル・高級モデルの販売に力を入れています。
富士通ゼネラルは家電量販店で展開する販売員の営業力です。販売員に商品説明など研修して、説明のプロとして現場に派遣しました。対面で丁寧に販売をして売上を伸ばしました。
説明しました。ですが、パナソニック、三菱電機、日立、ダイキン、富士通ゼネラルの上位5社は、販売比率の傾向はほぼ同じです。
中級グレードを勝ち抜くことが大切。バチバチの戦場
シェアが上位5社のフラグシップモデル、高級モデルの販売比率は横並びです。ですので、中級グレードが大切です。
フラグシップモデルと高級モデルは、高価格帯のエアコンなので、飛ぶようには売れません。
ユーザーのニーズを絞り込んだエアコンを製造すると中級モデルができるのです。
ユーザーニーズを絞り込む
- お掃除ロボットだけが欲しい
- 空気清浄機だけが欲しい
- 高性能な空気清浄機はいらないけど空気清浄機だけが欲しい
- 省エネ性能を強化して欲しい
- コンパクトサイズにして欲しい
中級モデルの販売戦略と商品戦略はとても大切なのです。
機能が増えれば高級モデル、機能が減ればローコストモデルに似ます。フラグシップモデル・高級モデルの予算から外れたユーザーを囲い込みできるし、ローコストモデルからの買い上がりも期待できます。
中級モデルの価格は複雑な決まり方をします。
機能が多ければ高価格、機能が少なければ低価格・・・と考えますよね?
その通りです。ところが、機能が少なくても高価格、機能が多くても低価格という値付けが生じます。
中級モデルのエアコンは、お買い得だったり、え・・・という価格だったりしているのです。
中グレードの価格はどうやって決まるか?
次の2つで決まります。
- メーカーの競合
- 販売店の競合
メーカーの競合を考慮しながら中級モデルの価格が決まります。他社の価格の動きを分析して競合に負けない価格設定をします。
価格の変動要因は販売店の競合対策です。エアコンの製造原価はどこのメーカーもほぼ同じです。製造原価に大きな差を生み出すことは難しいです。
競合店との競争で決まる中級モデルの価格
エリア内の競合店での差別化がポイントです。
競合店が力を入れているメーカーの中級モデルに対抗するためにはどうするか?を考えます。競合店のバランスで価格が決まります。
ネットで全国一律の価格になりつつあります。中級モデルがエリアによって価格が大きく違います。販売店の戦略が主導で価格を反映しています。
中級モデルの販売は遊戯王ゲーム
遊戯王のカードゲームのようです。
競合メーカーと販売店の戦略で中級モデルが決まります。競合店は対抗馬となる中級モデルを準備します。
「あっちがこうなら、こっちはこうだ」という戦いを続けるのです。
現場の担当者の知恵や工夫が販売台数に影響を与えます。そして、売上に直結します。なので、販売担当の面白みと同時にやりがいにもつながるところなのです。
富士通ゼネラルの中級モデル戦略
富士通ゼネラルの中級モデルは1つだけです。(家電量販店エアコンの場合)ですが、家電量販店ごとのオリジナルモデルを発売しています。オリジナルのモデルを出すことで、家電量販店は競合他社と戦いやすくなるのです。
ローコストモデルは生産台数と出荷台数のコントロールがポイントです
ローコストモデルの基本性能は若干の違いはありますが、、、どのメーカーも同じです。モデルイヤーは機能の改善はせず品番の入れ替えするぐらいです。
ローコストモデルは売れればよいものではない
ローコストモデルのエアコンは薄利多売。100円単位の価格が販売台数に影響を与えます。
それくらいシビアです。
価格を下げると飛ぶように売れますが、儲かりません。上位モデルの販売が少なければ利益を圧迫します。
というのも、欠品が続くと工場の生産計画を超えて生産します。当初の計画からの修正はわりとコストがかかるのです。
ローコストモデルは、売りすぎても生産しすぎてもダメなのです。非常にバランスが大切です。
基本的な売り方は上位モデルで利益確保
基本的には上位モデルの販売で利益をしっかり確保することです。そして、ローコストモデルの販売でシェアをがっちり確保することです。
上位5社が油断できない存在がコロナとアイリスオーヤマです。
猛暑と突発的な暑さで予定外の買い替え需要
エアコンが故障します。急な買い替えが生じる場合は「価格」で決まります。そうです、安ければ安いほど売れます。
2018年の7月の猛暑・・・エアコンの売り上げが増えました。
上位5社はローコストモデルを事前にも関わらず欠品しました。コロナとアイリスオーヤマのローコストモデルが爆発的に売れました。コロナとアイリスオーヤマは高級モデルがありません。ローコストモデルのポジションを虎視眈々と狙うメーカーです。
なので、ローコストモデルの在庫不足はシェアを奪われます。上位5社は上位モデルだけに注力すればいいというわけではなく、ローコストモデルの販売も大切しなければいけないのです。
まとめ
エアコンのグレードです。このグレードの法則を理解していると、購入するときに「費用対効果の判断」ができます。エアコンの寿命は10年ですので、後悔をしないように購入しましょう。
以上です。